日本水準の管理サービスを提供
高品質でトップを目指す

マンションやオフィスの管理事業を行うヴィサホ。2019年3月には「ベトナムの消費者のための高品質サービス提供企業2019」のトップ10に選出された。同社代表取締役社長の中村氏に、これまでの取り組みや今後の展望を聞いた。

手探り状態で苦労の連続
“仕組み作り”で品質を改善

――ベトナム進出の経緯を教えてください

中村 親会社である日本のサンケイビルは、重点的な海外戦略の対象国としてベトナムを選び、不動産開発や投資を進めようとしています。開発や投資の前に、日本の高い品質を生かした管理サービスから展開していくこととなり、弊社のパートナー企業であるホアンタンインフラ投資開発合資会社の拠点があるハノイに2015年9月、ヴィサホを設立しました。
 
――御社の強み、サービスの特徴は何ですか

中村 日系の不動産開発会社の場合、建物の建築が進んでから管理運営の検討を開始するのが一般的ですが、まず先に管理運営サービスから始めたのはめずらしいと思います。ベトナムでは、建物の構造から、メンテナンスに対する考え方、住民の方の慣習、法律に至るまで、多くのことが日本と異なります。管理サービスから入ったことで、市場の現状だけでなく、不動産開発後に生じ得る問題、検討または建設段階で注意が必要なことなど、多くの知見を得ています。

通常、ベトナムの管理会社は清掃会社や警備会社と契約を交わして、指導は各社に任せますが、弊社では専門のスタッフが直接指導し、弊社の基準に沿ってもらいます。また、常駐サービスが基本なので、例えば、ハノイの1000世帯の大型マンションでは、50人の社員が常駐。警備や清掃、植栽などの提携業者スタッフが80人ほど、総勢130人体制で、まるでホテル運営のような規模のサービスを提供できるのが弊社の特徴です。

――これまでの苦労や、取り組んできたことを教えてください

2019年10月、ホーチミン市で開催された「アセアンクオリティブランズ2019」。日系企業の表彰は初

中村 日本では考えられないようなことが次々と起こるので、今も驚きと苦労の連続です。管理方法に不満があると管理費用を支払ってもらえず、頭を下げに行くこともあれば、日本人社員総出で、洪水でビルの地下に溜まった水を吐き出しに行ったこともあります。

従業員の教育でも、ベトナム人を何十人も動かすのは容易ではなく、仕事に対する考え方、例えば遅刻や服装などの感覚も異なります。弊社は日系企業として、一つひとつのことにルーズにならないことが、他社との差別化と信用につながることを理解してもらっています。

少しずつでも状態を良くするべく、弊社では「仕組み」をキーワードに、毎日のように社員と議論を繰り返しながら、様々な改善に取り組んでいます。取り入れてよかったと特に感じているのは、先述した「本部専門家チーム」を置いたことです。現場の教育や指導は彼らが担い、問題が発生すれば現場に直行し、専門的な知識を持って解決に当たります。本部管理だから品質を一定に保つことができ、起こり得る不備やミスを事前に防ぐことも可能です。現場の負担が減り人事が安定するほか、現場のコストを下げることにも成功しました。

日系企業との連携を強め
2020年は勝負の年に

 
――2019年9月で4周年を迎えました

中村 私が赴任した約2年前、弊社の認知度は低く、サービスの質も良いものとは言い難いものでした。一方で、どん底な状態だったからこそ「仕組み」を積み重ねて、新しいアイデアをどんどん取り入れてみました。その甲斐あって改善が進み、そこに数字も付いてきて、売り上げはその当時から約5倍も上昇。社員数も今後200人を超える見込みです。ただ、今の状態で満足せず、まだ改善の余地があると感じているので、より完璧に近づけていければと思っています。
 
――品質サービスのトップ10企業に選ばれました

サービス現場は毎日ビデオで撮影。専門家チームが点数を付けて各スタッフに開示し、改善点を確認できる

中村 「ベトナムの消費者のためのゴールド品質サービス2019」の表彰では他の有名企業の皆様とともに選ばれ、2019年10月に開催された企業ブランドの品質を評価する「アセアンクオリティブランズ2019」でもトップ10の企業に選んでいただき、弊社の品質が認められたと素直に喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。

弊社は日本の品質を維持しつつ、価格帯はベトナムに合わせて、ベトナム企業に向けたサービスを展開してきました。今後はベトナム企業だけでなく、高いサービス品質を武器に、日系企業の不動産開発案件の管理運営も手掛けていけたらと思っています。

――今後の目標を教えてください

中村 これまでは品質を維持しながら、社内の仕組み作りやコスト削減に注力してきました。今後は本部体制をさらに強化する一方で、仲介やコンサルティング業務の拡大、そしてマーケティングなどにも投資して、高品質なサービスをハノイ、ホーチミン市の両拠点で積極的に展開していきたいと考えています。

2020年は加速の時代。守りから攻めていく体制へ。そして、「ベトナムでナンバー1の不動産サービス会社になる」をスローガンに、不動産に関わることはすべてやっていきたいと思っています。

COMPANY INFO
2015年9月、不動産会社サンケイビルのベトナム現地法人として、ホアンタンインフラ投資開発合資会社など4社との合弁でハノイに設立。ベトナム国内のマンション・オフィス管理や建設コンサルティング事業などを展開している。2019年5月には、ホーチミン市支社を開設し国内2拠点となった。
中村 昭宏
AKIHIRO NAKAMURA
1968年生まれ。千葉県船橋市出身。大学卒業後の1992年、日商岩井(現・双日株式会社)に入社。その後SBIホールディングス、通販のディノス・セシール社、家具のニトリへの転職を経て、2017年5月にヴィサホの取締役社長に就任。ベトナムで不動産サービス事業を展開し、現在に至る。