飲食を通じて日本文化を発信
雇用拡大と経済発展に貢献

日本全国で「居酒屋甘太郎」「かっぱ寿司」「居酒屋土間土間」など、多数の飲食店ブランドを展開するコロワイド。ベトナムでは「にじゅうまる(NIJYU-MARU)」、「牛角」、「しゃぶしゃぶ温野菜」を展開している。進出からの歩みや今後の目標を聞いた。

衛生面を徹底的に管理・指導
日本と変わらない品質を提供

――ベトナム進出の背景を教えてください

小澤 ベトナムへの進出は、日本の文化をレストランから発信していきたかったことと、ベトナム人の雇用や現地の関連業者との仕事を増やし、彼らの収益や技術に貢献する。また税金を納め、国の発展に貢献したいという思いがありました。

通常ホーチミン市からが出店しやすい、というイメージが強い中、弊社が店舗展開をハノイから始めたのは、ベトナムでも日本と同様に、全国へのチェーン展開が目標のため、難しいとされる首都ハノイで成功すればホーチミン市でも成功するはずだと考えたからです。

――2012年9月に初の店舗「にじゅうまる」をオープンしました

「牛角」では精肉の販売も実施。バーベキュー機材の貸し出し、スタッフの派遣なども可能

小澤 進出前の視察の際に、どの飲食店ブランドを展開していこうかと模索している段階で、店名に漢字が入っていると中国のレストランと間違われてしまう可能性があるとアドバイスを受けました。居酒屋「にじゅうまる」なら様々な種類の日本料理が提供でき、かつ店名の正式表記がローマ字なのでベトナム人に馴染みやすいのではと判断しました。その後は、焼肉好きが多いと分かり「牛角」を、鍋の文化が根付いていることを知り「しゃぶしゃぶ温野菜」を、という流れで展開が決まりました。

――ベトナムでの運営で特に気を付けていることはありますか?

小澤 飲食店は「安心・安全」が第一。最も大切なのは衛生管理です。弊社では衛生管理部門を設けていて、週に1度は必ず日本人が各店舗を訪れチェック項目を確認していきます。もし何か問題が見つかれば、その場で改善し、再度教育します。訪店確認を日本人が行うのは、日本人とベトナム人では衛生感覚が異なるからです。ベトナムではまだ小まめに手洗いをする習慣が根付いていなかったり、床に置いた箱を冷蔵庫にそのまま入れても平気な人が多いです。当社は日系店であり、日本のクオリティを維持するには日本人の感覚と常識で細かく指導していく必要があると感じています。

次に日本食の良いイメージを壊さないことですね。ベトナムでは日本食は価格が高い、でも質は良いという印象が強くあります。「にじゅうまる」では日本食を安く食べられるというコンセプトで、原価ギリギリまで価格を抑えて料理を提供していたのですが、普通はこんなに安く食べられない、こんなに安いのは素材が良くないからでは、と思われてしまって逆効果でした。過度なローカライズは良くないと感じ、現在はメニューを少しずつ修正しています。

店舗によって異なる工夫を
ニーズに合うメニューを用意


日本式の品質、サービス、清潔さは保ちつつ、ベトナムの環境に合わせた心遣いも意識

――2019年11月現在、ベトナムでの店舗数はいくつですか?

小澤 ハノイは「にじゅうまる」が1店、「牛角」が6店、「しゃぶしゃぶ温野菜」が2店。ホーチミン市とビンズオン省を合わせて、順に1店、5店、2店の、計17店があります。どの店舗も、基本的には日本と同様のメニューを用意していますが、ベトナムでは焼肉を食べた後に鍋を楽しむ習慣があることから「牛角」には鍋メニューを、インドネシアの店舗で好評だったビュッフェスタイルの食べ放題を「しゃぶしゃぶ温野菜」でも取り入れたりと、当地ならではの特徴は見られます。

――店舗ごとでサービスの違いはありますか?

小澤 牛角の場合、ハノイのキムマー店は90%以上が日本人のお客様、ショッピングモール内の店舗はほぼベトナム人のお客様と、店舗ごとで客層が異なっています。なので日本人の方が多い店舗は日本人スタッフを置いたり、和牛メニューを用意したり。一方でベトナム人の方が多い店舗では、需要の少ないホルモンなど内臓系の食材や冷麺をメニューから外したりと、多少変更しています。

提供する肉のカットサイズも工夫しています。ベトナムでは焼肉をはさみでカットしながら食べる方が多いため、あえてカットを大きくしています。提供されたときのインパクトが大きく非常に喜ばれていますね。また豚肉などは薄くカットし、焼き上がりが早くなるように工夫しています。

――今後の目標を教えてください

小澤 ベトナム人の家庭は、内食で豚肉や鶏肉、外食で牛肉を食べる傾向が強いです。せっかく外食でお金を使うなら良いものを食べたいと考える人が多く、その時に「牛角」を選んでくれたら嬉しいですね。またここ数年、健康管理への関心が高まっています。今後は全席禁煙を実施したり、無農薬野菜を使うなど、他社とは異なるサービスも提供していきたいです。

現在、ホーチミン市では2区や7区などでの出店を計画中です。回転寿司やピザなど別のブランドの出店計画はもちろん、いつかベトナム発のブランドを立ち上げて、日本で全国展開できるまでに成長できたらと思っています。

COMPANY INFO
2014年9月、日本コロワイド社がベトナム流通大手のフータイホールディングスと合弁会社コロワイドベトナムを設立。同社設立前の2012年には業務提携で日本居酒屋「にじゅうまる(NIJYU-MARU)」を展開済み。続けて2014年に「牛角」、2016年に「しゃぶしゃぶ温野菜」を開業した。
小澤勇人HAYATO OZAWA
1975年生まれ。静岡県静岡市出身。高校卒業後、和食店で板前としての経験を積む。1998年にオーストリア・ウィーンへ渡り現地和食店に勤め、帰国後の2006年にコロワイド入社。東京・千葉エリア店舗での店長、エリアマネジャーなどを経て、2012年6月に来越し、現在に至る。