EY大手会計事務所のベトナム事情 No.029

時間外労働等の割増賃金の取り扱い

小野瀬 EYベトナムの小野瀬です。第29回の対談は、日系企業担当の浅野智道マネジャーです。

まず、時間外労働等の割増賃金の個人所得税上の取り扱いについて教えてください。

浅野 ベトナムでは労働法第106条により、時間外労働の時間数は年間200時間(政府が規定する特別な場合は300時間)が上限となっています。通常、時間外労働等の割増賃金は、個人所得税が非課税となっています。しかし、労働法で定める上限を超過する部分については、非課税ではない点に注意する必要があります。
 
また、当該上限超過部分は、個人所得税が課税されるだけでなく、法人税上損金算入できない点にも注意が必要です。

基礎控除・扶養控除の引き上げ

小野瀬 次に、個人所得税の計算に影響する最近の動きとして、6月2日付の国会決議954/2020/UBTVQH1による変更点について教えてください。

浅野 はい、こちらは個人所得税の計算における、基礎控除および扶養控除の金額を引き上げる国会決議です。
 
従来、基礎控除は月額900万VND、扶養控除は月額360万VND/人でしたが、当該決議により、基礎控除が月額1100万VND、扶養控除が月額440万VND/人に引き上げられました。この決議は2020年7月1日から有効となり、2020年の課税年度全体に適用されます。
 
つまり、7月以降の申告では新しい控除額に基づいて計算するとともに、年度の確定申告においては、1月から6月分について、新しい控除額に基づいて計算し直す必要がありますので、注意が必要です。

小野瀬 基礎控除および扶養控除の引き上げは、個人所得税が軽減される方向の調整となると思われます。当該変更の影響についてはしっかりと確認する必要がありますね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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