10年以上のノウハウを持ち
日本と同等以上の品質を提供

倉庫業や運送業などを営む「トランシィ・ロジスティクス・ベトナム」。2020年9月には、同社グループの「トランシィ・ディストリビューション・ベトナム」が、国内初の自社倉庫を稼働させる。両社代表の小芝氏に、これまでの歩みや今後の展望を聞いた。

物流サービスが順調に拡大
従業員の満足度も重視

――2010年1月の進出の経緯を教えてください

小芝 グローバルな規模で当社グループのサービスを利用してくださっている日系自動車部品メーカーがベトナム北部に工場を設立し、それに伴う物流サービスの提供が主な目的でした。もちろん弊社としても、ベトナム経済の今後の発展を見込んでの進出でもありました。

進出後は事業が徐々に拡大していき、2012年にはハイズオン省とドンナイ省に、2013年にはホーチミン市に拠点を構えました。さらには2016年9月に、日本トランスシティが100%の出資者となる「トランシィ・ディストリビューション・ベトナム」も設立。約10年に渡って、ベトナム国内での実績と信頼を積み重ねてきました。

――御社の強みは何ですか?

自社倉庫の外観イメージ。ハイズオン省のダイアン工業団地内で2020年2月に着工し、9月に竣工予定

小芝 当社では日本と変わらない、倉庫業や運送業における品質の高さが強みです。例えば、ベトナムの倉庫管理において、一部では日本と同様の手法、マニュアルをそのまま取り入れています。ベトナム人は仕事の処理能力の高い人が多く、日本よりもサービスの質が上回っているケースがあります。

あとは対応の早さなど、日本人が求めるサービスを提供するのはもちろん、お客様の思っていること、考えていることの一歩先を行く提案ができるよう心がけているのも弊社の強みです。

――ベトナムならではの取り組みはありますか?

小芝 ベトナム人は真面目で教えたことはきちんとできたり、細かい作業が得意な人が多いので、とても助かっています。一方で、従業員の定着率が低いのが悩みでもあるので、日本の評価システムをベトナム版にアレンジして、従業員を公平に評価して処遇に反映させたり、社員旅行や忘年会などの福利厚生に力を入れたりと、社内向けの取り組みを充実させています。評価制度は現在、日本人従業員が管理していますが、近年はベトナム人従業員の能力が高まり、加えて全体のスタッフ数が増えてきたので、今後はベトナム人の管理者が従業員を評価し、それを日本人が確認するようなシステムに移行したいと考えています。

弊社は日系企業ですが、ここはベトナムです。日本式を無理に押し付けない、日本人は働かせてもらっている、ベトナム人には働いてもらっているという感覚を忘れないよう意識しています。お互いを尊重しつつも、いかに日本式のサービスを提供できるようにするか、それぞれの判断を慎重に行うようにしています。

新倉庫建設で高まる利便性
今後も営業の拡大は必至

物流ネットワークの拡充が期待される、タイからプノンペンを経由し、ホーチミン市へと向かう物流ルートは現在開拓中だ

――今年はベトナム国内初となる自社倉庫が竣工予定です

小芝 自社倉庫を建設するに至った経緯は、日系自動車部品メーカーのお客様が今後ベトナムでの生産量を増やしていくという話があったからです。また、自社倉庫であれば長期的に見るとお客様の物流コストを下げることが可能で、倉庫内のレイアウトはフレキシブルな対応が可能などの利点も生まれると判断しました。

自社倉庫は2020年5月現在、北部ハイズオン省に建設中で、一般倉庫と保税倉庫の両方の役割を担います。警備員の常駐、監視カメラの設置などによりセキュリティ面は日本と同等レベルです。また、日本と同様にベトナムでの自然災害発生のリスクを想定して、施設内に自家発電装置の設置や雨水の排水処理能力を強化し、事業活動を止めることなくサービスを提供することが可能です。 

――今後の目標を教えて下さい

小芝 南部ではビンズオン省の倉庫を借りて、日系大手スーパーのお客様の物流センター運営を担っていますが、北部に進出した際もぜひ任せていただきたいと思っています。また現在、南部と北部の運送は船やトラックで結んでいますが、実は南部から北部への運送がほとんどで、北部から南部への運送が少ない状態です。今後はもっと往来できるような営業環境を整えたいと考えています。

運送業務では2018年にグループのタイ法人が、タイ・カンボジア・ベトナムを含む東南アジア6ヶ国においてトラックでの乗り入れが可能となるGMS越境交通ライセンスを取得しました。これにより国を跨いでも、運転手や車を変えることなく、スムーズにモノを運ぶことができます。ライセンスを取得しましたが、今はタイからプノンペンまでの運送に留まり、ライセンスを有効活用できていないため、将来的にはそれをホーチミン市まで繋げて、サービス提供の可能性を広げたいです。

COMPANY INFO
三重県四日市市に本社を構える総合物流企業「日本トランスシティ」が2010年1月、現地法人「トランシィ・ロジスティクス・ベトナム」をハノイに設立。2016年9月には営業拡大と経営強化を目指し、日本トランスシティが100%出資する「トランシィ・ディストリビューション・ベトナム」も設立した。
代表取締役社長 小芝 伸久
NOBUHISA KOSHIBA
1968年生まれ。三重県伊勢市出身。大学卒業後の1991年4月、日本トランスシティに入社。後に国際輸送部の所属となり、タイやフィリピンへの赴任なども経て、2017年7月に来越。ベトナム法人の代表取締役に就任し、現在に至る。